GNSS収録再生 ― USRP B210でGPS信号を録る・解析する・再生する

「USRP買ったけどGPS信号ってどう録るの?」問題

こんにちは、ドルフィンシステム福島です。

今回は、ドルフィンシステムの収録再生システムを使って GNSS(GPS) L1信号をUSRPで収録・再生する方法についてご紹介します。

GPS信号を収録してみたい、再生してみたい、という話は昔からよくあります。

ただ実際にやってみると、

  • USRPにアンテナをつないだのに何も見えない
  • 収録できているのかわからない
  • GPS受信機がロックしない

……と、意外とハマります。

しかもGNSSは、「USRPを買えばすぐできる」というより、RF周辺をちゃんと揃えて初めて動く世界です。

今回は、弊社のRF収録再生システムを使って、GNSS L1を実際に収録・再生する流れをまとめます。

※GNSS信号品質を求める場合は、もっと良いアンテナやGPS用フィルタを使用するなど改善の余地はありますが、ここでは触れません。


GNSS信号はかなり弱い

GPS衛星から発信される信号強度は地上で-130dBmと非常に弱いもので、ダイナミックレンジ50dB程度のUSRPで受信するためにはそれなりに利得を稼ぐ必要があります。

なので、

アンテナ → USRP

だけだと、USRPが収録可能な信号レベルになりません。

そこで必要になるのが、

  • Bias-T
  • アンプ
  • DC Block
  • グランドプレーン

などのRF周辺機器です。

最初は「部品多いな……」と思うのですが、この辺りをちゃんとやると一気に動き始めます。


今回の構成

今回使用した構成はこちらです。

機材 用途
 USRP B210 / USRP-2901   RF収録再生
 GNSSアクティブアンテナ   GPS受信用 (30dB程)   u-blox ANN-MB-00
 Bias-T  アンテナへ給電   アリエクで購入
 アンプ  信号増幅(30dB)  アリエクで購入 (GPS専用ではない)
 DC Block  電源逆流防止  mini circuits BLK-89-S+
 ノートPC  収録再生システム  ThinkBook 14 AMD Gen.7
 SMAケーブル  SMM12/36

GNSS収録は、USRP本体よりも周辺構成の影響がかなり大きいです。

特にBias-Tを忘れると、

「アンテナ刺さってるのに全然受信できない」

になります。

これはかなり“あるある”です。

GNSS用のアクティブアンテナにはアンプが内蔵されていますが、アンプをドライブする電源はGPSモジュールから供給されています。

しかしUSRPのSMA端子からは電源は供給していないので、別途Bias-Tで供給する必要があります。

ここを忘れると収録が失敗する原因になります。

アンテナへの電源供給は目に見えないので、忘れやすくハマりやすいです。

DC Blockは電源供給をカットする部品です。Bias-Tは、DC+RF側には電源供給されますが、RF側(USRP側)には電源は流れません。

ですが、方向確認も含めてUSRP側にDC Blockを付けておきます。


接続順がわりと重要

接続は以下のようになります。

GNSSアンテナ
   ↓
Bias-T
   ↓
DC Block
   ↓
30dBアンプ
   ↓
USRP B210

まずGNSSアンテナはグランドプレーン上に置くのが重要です。写真のタイプのGNSSアンテナはグランドプレーン上の設置されることが前提になりますので、適当に置くだけだと感度が出ません。

この辺りは、実際に試すと結構差が出ます。

GNSSアンテナとグランドプレーン


下図が接続全景です。

接続全景


GNSS L1を収録する

GNSS L1の収録は以下のように設定して収録をします。 ゲインを高めに設定して中心周波数を間違えなければ、「意外とシンプル」な設定です。

項目
中心周波数 1575.42 MHz
帯域幅 4 MHz
サンプリング 5 Msps
ゲイン 60 dB
アンテナ RX2

収録設定

設定したら、あとはF5キーを押して収録開始。

この瞬間が毎回ちょっと緊張します。

「ちゃんとGPS入ってるかな……?」


収録中


「録れてるかわからない問題」

GNSS収録で一番多いのがこれです。

収録はできた
でも本当にGPS信号入ってる?

私もずいぶん悩みましたが、収録したIQデータファイルにGNSS信号が入っているかどうかを確認できるようにしました。

最近の出荷分の収録再生システムには、ソフトウェアgnss-sdrをプリインストールしてあります。

これを使用すると、収録したデータファイル中にGNSS信号が収録されているかどうかがわかります。

手動で申し訳ないですが。以下のように実行すると、GNSS-SDR解析が走るようにしています。

run-gnss ファイル名.dat

gnss-sdrのコマンド


緑色の文字列が表示されれば、GNSS L1信号を正常に収録できています。

解析結果

ここまで確認できるとかなり安心です。

※gnss-sdr実装の都合で、日時がズレています。


GNSSが見えない時のチェックポイント

もし信号が見えなかったら、まず以下を確認します。

  • 空が見える場所か
  • Bias-Tへ給電されているか
  • アンプへ給電されているか
  • SMAコネクタが緩んでいないか
  • RX2へ接続しているか
  • グランドプレーンがあるか
  • 周波数設定が1575.42MHzになっているか

GNSSは本当に微弱なので、小さな接続ミスでも簡単に受信できなくなります。

逆に言えば、この辺りをちゃんと押さえると、かなり安定して収録できます。


収録したGNSS信号をそのまま再生できる

まず収録した信号を再生するためには、USRP のTX/RXポートとGNSSを直結します。

あとは再生アプリで収録した信号を出力すればOK.

USRPとGNSSを接続する

u-blox ZED-F9Pに向けて収録信号を送信!

無事ロックしました。

再生した信号でGPSロックした様子


実際にGPS受信機がロックすると、

「今受信しているGPS、自分で収録した信号なんだよな……」

という、ちょっと面白い感覚になります。

SDRやRFの面白さが一気に出てくる瞬間です。


まとめ

GNSS収録再生は、

  • アクティブアンテナ
  • Bias-T
  • アンプ
  • GNSS-SDR

など、意外と“USRP以外”でハマります。

特に最初は、

  • 収録できているかわからない
  • 解析できない
  • 再生してもロックしない

となりがちです。

そこで弊社のRF収録再生システムでは、できるだけ「届いてすぐ試せる」ことを重視して、GNSS L1用プリセットや確認ツールを用意しています。

GNSS収録やGPS信号解析、RFキャプチャに興味がある方は、ぜひ試してみてください。

以上、ドルフィンシステム福島でした。

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