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NI USRPシリーズの開発元Ettus Researchから新しいUSRPが発売開始されました。
「SDRプロフェッショナル」を自任するドルフィンシステムは、早速発注をしましたが納入予定は2018年4月23日。到着が待ち遠しいです。
納品され次第、試行錯誤を繰り返してその様子を皆様にもお伝えしたいと思いますが、今回はN310のデータシート上のをチェックしてみます。
RFモジュール周りの変更
新しいUSRP N310は、RFモジュールにアナログデバイセズ AD9371(2入力2出力)を2つ搭載しており、4入力4出力(4x4)に対応しています。
今までのドーターボードシステムではなく、USRPメインボードに直接AD9371が実装されていますので、ドーターボードの入れ替えということは出来ません。
以下にNI USRP-2954Rと比較表です。
最大帯域幅以外はN310の方がスペックが高いため、広い帯域幅が必要でなければN310を使うのが良いと思います。
項目 |
N310 |
NI USRP-2954R |
入出力 |
4入力、4出力 |
2入力、2出力 |
ADC |
16bit |
14bit |
DAC |
14bit |
16bit |
最大帯域幅 |
100MHz |
160MHz |
LO |
Tx, Rxに入力可能 |
入力不可 |
スタンドアロン動作が可能に
USRPを電波監視や産業用途で使用したいという要望も多くありました。
今回のN310では、これらの要望を満たすための仕様が盛り込まれています。
PCレスで動作するスタンドアロンモードが実現されたため、PCが無くても単独動作します。(恐らく、必要な機能はFPGAに実装しフラッシュROMに焼いておいて、起動時にロードされるという仕組み)
またこれに対応したリモートマネジメントを行うために、RJ45ギガビットイーサネットが搭載されています。RJ45は、FPGA内部のARMに接続されていて、ARMのソフトウェア経由でFPGAとアクセスできます。
最近実験用途でも複数台のUSRPを使用することも多くなっています。
この際にPCも台数分用意するのですが、スタンドアロンで動作すればトータルコストと工数を削減できそうですね。
FPGAやインタフェース周りの進化
FPGAについて
新しいN310のFPGAは、FPGA+ARMが搭載されているZynqシリーズの7100が搭載されています。
今までのUSRP-RIOに搭載されているKintex7にARMコアが追加されたFPGAであり、以下の比較表をご覧いただければわかるようにFPGAリソースもおおむね向上しています。
項目 |
Kintex7 410T |
Zynq-7100 SoC |
Logic Cells |
406,720 |
444,000 |
Flip-Flops |
508,400 |
554,800 |
BlockRAM(KB) |
3,578 |
3,020 |
DSP48 Slices |
1,540 |
2,020 |
インタフェースについて
新しいN310は、ネットワーク接続のNシリーズになります。シリーズとしては、イーサネット接続の以下のUSRPと同じシリーズです。
SFP+接続の10ギガビットイーサネットがメインインタフェースになります。
IQデータもネットワーク接続で送受信できることで、USRP-RIO1台にPC1台を用意する必要がなくなりました。
デメリットは、現在のところノートPCではSFP+に対応した10ギガビットイーサネットアダプタは存在していないことでしょうか。新しいノートPCには、Thunderbolt3が搭載されているので以下のようなTB3を用いたアダプタを使用する必要があるかもしれません。
ちなみにドルフィンシステムではこのようなThunderbolt3→PCIe変換デバイスを購入してUSRP-RIOと接続試験は行って、その結果は得ています。
ブログで公開したと思っていましたが、先ほど調べてみたら執筆途中で忘れていました。今度まとめて公開します
対応開発環境
今のところLabVIEWでのサポートはされていません。いずれサポートされると思いますが、いつサポートされるのか私のところに情報はありません。
スタンドアロンモードがLabVIEWでサポートされるのか気になりますね。
現在は、オープンソースのUHD(USRP Hardware Driver™)がサポートされています。
またARMコアOpenEmbedded Linuxが動作するようです。
FPGAのRF周りは、RF Network on Chip (RFNoC™)やXilinx Vivado 2017.4 Design Suiteで開発可能です。
もちろんGNU Radioでも使用可能です。
まとめ
4x4のFPGAが搭載されている送受信機が100万円台で購入できるというのは、SDR界にとってはとてつもなく良いニュースです。
アナログデバイセズのAD93xxシリーズがGame Changerとして、無線業界にインパクトを与える流れは当分変わらなそうです。
ドルフィンシステムは、最新のハードウェアをお客様に使っていただけるように、N310受注開始した即日に発注を行いました。
今後納品され次第、試行錯誤を行いできるだけメールニュースにてお伝えできればと思います。
また4x4のハードウェアが登場したことで弊社のフェージングシミュレータ Rivieraも4x4への対応を模索していくことになります。
乞うご期待!
以上、ドルフィンシステム福島でした。
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