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こんにちはドルフィンシステム福島です。
最近詐欺師について書かれた本をよく読んでいます。
オレオレ詐欺などの荒っぽい詐欺ではなく、1回に数億円ぐらい詐欺る大型の詐欺師についてです。
ちなみにオレオレ詐欺などが荒っぽい小口の詐欺は、ショートコン (Short confidence)。
一流の詐欺師が手がけるような一件が大型の詐欺はビッグコン(Big Confidence)と呼ばれています。
で、私が読んでいるのは主にビックコンの方です。
大型の詐欺はビジネスを装って実行されますので、詐欺師とは何らかの契約が締結されます。土地取引だったり株取引だったりするようですが、契約書は必ず詐欺師の方で作成してきます。
契約する側としては、契約書を作成するのは手間だから楽でいいやと思ってしまうので、お任せしてしまうことが多いようです。
で、ここで騙される。
と思ったら、そうではなく契約書の内容を確認してもほぼ網羅されていて問題ない契約書なのだそうです。
ですが、重要なのはそこに何が書かれているかではなく、何が書かれていないかなのです。
この一点が命取りになるのです。
実はSDRの世界でも、何が書かれていないのかが重要な時があります。
ちょっと前置きがおどろおどろしいのですが、怖い話ではなく(笑)
今回は、データシートをよく読んでも見えてこないことがある、思い込みは怖いね、というお話です。
B210というソフトウェア無線機
Ettus
B210というソフトウェア無線機について、時折、問い合わせがあります。
USRPのB210といえば、USB接続できる小型のUSRP。USBバスパワーで動作しますので、ノートPCと一緒に気軽に使いたい!という用途にはぴったりです。
ですが、このUSRPをすんなり採用できたという話は実はなく(弊社では)、制限付きで使ったり、ソースコードをハックして使えるようにしたり、諦めたり・・・まあ色々とと落とし穴があるUSRPです。
B210のスペック復習
まず名称についてですが、USRP B210の"B"は"Bus"の"B"。ここでいう"Bus"とはUSB(Universal Serial Bus)のBusです。
主接続インターフェイスがUSBのUSRPが"B"シリーズです。
ちなみに主接続インターフェイスがイーサネットのシリーズは"N"シリーズです。
Ettus
Researchの型番は、"B"や"N"のプレフィックスついているのでわかりやすいですが、NIの型番になると29xx等一見して判別できないナンバリングになるので分かりにくいですね。
Ettusの型番
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NIの型番
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B200
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NI
USRP-2900
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B210
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NI
USRP-2901
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N210
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NI
USRP-2920等
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X310
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NI
USRP-2954等
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次にスペックを簡単におさらい。
下図は、B200/B210のデータシートからの引用です。
B200は、1 Tx & 1 Rx。
B210は、2 Tx & 2 Rx。
受信範囲は、70MHz~6GHzと幅広く帯域幅も30.72MHz (2ch使用時)、56MHz(1ch使用時)となっており、使い勝手の良いスペックです。
別途GPSモジュールも搭載することが出来ますので、周波数安定度も高精度(±75ppb or <1 ppb)となっています。
で、B210の2chを使って、それぞれ別々の周波数帯で送受信できるのか?
という問い合わせがあります。
複数の周波数帯のチャネルを同時に受信したり、レーダーなどで同時に2chを使って走査したりなど、用途は色々です。
では、B210は2ch別々の周波数帯で受信もしくは送信できるのでしょうか?
結論から申し上げますと、
- 送信と受信は別々の周波数帯で使用可能
- 受信と受信は別々の周波数設定が可能だが、それぞれの2chは同一周波数になる。
となります。
LabVIEWで動作させてみる
LabVIEWの関数を使用してch1とch2に中心周波数を設定するのは、以下のように「ch1設定→ch2設定」と順番に設定します。
特にエラーも警告も発生しません。ちゃんと2chの受信と送信も可能です。
で一見、問題なさそうに動くのですが、信号を入力してみるとびっくり同一の中心周波数で動作しています。
最後に設定したチャネルの周波数帯で動作してしまいます(上記で言うとch1もch2の中心周波数で動作する)
一体どういうことなのか?
B210の搭載RFIC AD9361
USRP-RIOやUSRP Nシリーズとは違い、BシリーズにはRFドーターボードはなく、組み込まれたRFICが搭載されています。このRFICは、アナログデバイセズ AD9361と呼ばれる小型のSDRには良く搭載されているRFICです。
AD9361のデータシートを見てみましょう。
下図は、機能ブロック図です。
一つのRX LOから両方のチャンネルに共通で配線されています。
という事は、もうお分かりですね。
両方のチャネルは同じ受信周波数にしか設定できません。
TX LOも同じような配線なので、TXも両方のチャネルに同じ周波数しか設定できません。
ちなみにRXとTXは別々の周波数に設定は可能ですね。
まとめ
・USRP Bシリーズでは、2chとも同じ中心周波数で動作する。
・それぞれ別々の中心周波数を設定してもエラーは発生しないので、一見動作しているように見える。
というわけで、2ch別々の中心周波数が設定可能とはUSRP
B210のデータシートには書かれていません。
"別々の周波数は設定不可能"と明記されていれば注意が向くのですが、書かれていないと「大丈夫だろう」と思い込んでしまいます。
現にNI USRP-2954(Ettus X310)などは別々の中心周波数で動作可能ですから、思い込む素地は十分にあります。
「何が書かれていないのか」。
ドルフィンシステムでは常に「現場現物主義」で、現物を入手し動作確認をした上でお客様に提案をしております。
このようなトラブルは避けたい!という方はドルフィンシステムへご相談ください。
私たちドルフィンシステムは、お客様の様々な要望に答えられるような知見の蓄積・環境の構築を行い、最適な無線システムを提案していけるよう努力しております。
以上、ドルフィンシステム福島でした。
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