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ドルフィンシステム福島です。
今日はみちびきをつかった高精度測位のお話です。
通常のGNSS信号(GPS)では精度がメートル級(誤差 50cm~1m)ですが、RTK方式(GNSS衛星に加え地上の基準局をリファレンスとして測位する)を使うことでcm級の高精度な測位が実現できます。
u-blox社から低価格なオールインワンなGNSSレシーバトップ"ZED-F9P"が発売されたことで、誰でも専門知識不要でcm級測位が出来るようになりました。
ただRTKでは補強データの受信にインターネット接続が必要です(もしくは自分で基準局を立てる)。
補強データを受信するためにインターネット接続を必要としない方式があります。日本のGNSS衛星みちびきの補強データを受信して高精度な測位をする方式"CLAS"です。
みちびきの補強データは、通常のGPS信号ではなくL6信号のため今までのGNSSレシーバでは受信することが出来ませんが、昨年2021年に発売された"NEO-D9C"という「みちびきの補強データを受信することに特化した受信機」を組み合わせることで、ネットワーク接続不要でcm級の高精度な測位が出来るようになりました。
NEO-D9Cが発売される前まではみちびき(L6)対応受信機は40~70万円程していましたが、今ではアンテナも揃えても6万円程で全部揃うようになりました。
これからRTK(VRS)方式とCLAS方式両方で測位し比較してみたいと思います。今回はその第1回で必要な部材を揃えセットアップしていきます。
使用した部材
RTK対応GPS関連は、ジオセンス ヤフー店で購入できます。
今回弊社で購入したものは以下のもの。ZED-F9Pは既に所有しているものがありますが、セットで購入しました。
部材一覧
商品 | 品名 | 価格 |
GNSSモジュール | ZED-F9P RTKシステム開発用ボード F9PX1 | 34,650 |
CLAS L6 受信モジュール | みちびき CLAS L6受信用 NEO-D9C開発ボード D9CX1 | 18,700 |
アンテナ | L5/L6対応多周波RTK(ZED-F9P対応) GPS/GNSSアンテナ BT-345AJ | 10,560 |
合計 | 63,910 |
セットアップ
まずアンテナを5Fベランダの角に配置しました。オープンスカイではなく、3面は開けていますが1面はこの建物に遮られていますが仕方ありません。
グランドプレーンは、100均で購入した料理用のお皿を使用します。
今回は両方式(RTKとCLAS)を比較するために、アンテナを分岐して2台のZED-F9Pに入力します。
それぞれのZED-F9PにDC Blockを挿入し電源を遮断し、アクティブアンテナの電源供給の為にBiasTをつけています。受信感度が心許なかったのでBiasT直後に30 dBのLNAをつけました。
u-centerでの設定(共通)
u-centerはVer 22.07を使用します。
以前のZED-F9Pは、高精度測位の為の設定が色々と必要でしたが、最近は随分設定しなければならない項目が減りました。
Message View→CFG→NAV5→Min SV Elevation→25 (デフォルトは5)
Message View→CFG→NMEA→High precision mode→チェックオン(デフォルトはオフ)
とりあえずは今回はこれだけにします。
Receiver→Action→Save Configで設定値をGNSSレシーバに保存します。
静止状態なので、更新速度は1秒間に1回です。
1回以上にするには、以下の設定も追加します。
Message View→CFG→PRT→Target : 1 - UART1→Baudrate→921600 (デフォルトは38400)
Message View→CFG→RATE→Time Source : GPS Time→Navigation Rate→10(デフォルトは1)
u-centerのセットアップ(RTK側)
u-centerを起動し、RTK側のZED-F9Pのポートを選択します。
RTK側は補強データを受信する基準局のアドレス指定します。弊社から近いCQ出版さんにお世話になります。 オープンな基準局は「善意の基準局掲示板」から10km以内の近いところを選択します。
善意の基準局掲示板
https://rtk.silentsystem.jp/
設定
u-center→Receiver→NTRIP client→address→160.16.134.72 (マウントポイント CQ-F9P)
基準局からデータを受信開始するとステータスバーにIPアドレスが表示されます。
u-centerのセットアップ (CLAS)側
u-centerを起動し、CLAS側のZED-F9Pのポートを選択します。
次に、補強データをD9Cから取得する設定をします。
設定
Receiver→Differencial GNSS Interface
ボーレートは、D9Cデフォルトの38400にします。
ちなみに下図のように、
"ERROR: failed to establish the serial connection"
と表示された場合は、"Send Correction to"がポート選択状態になっているにも関わらずポートが選択されていないことが原因かもしれません。上図の様に"Send Correction to"は、"Current Connection"を選択します。
D9Cから補強データを受信開始すると、ステータスバーが緑色になり、受信する毎に点滅します。
測位を始める
測位を始めるにあたり、各GNSSレシーバの状態をクリアな状態から始めたかったので、それぞれColdStartします。これでレシーバに保存されたエフェメリスやアルマナックをクリアした状態から起動します。
後は u-centerでNMEAを保存(ツールバーの録音ボタンを押す)して待っていればどんどんログが保存されていきます。
RTK側は、1~2分くらいで無事Fixし高精度な測位状態になりました。
以前のオフィスはビルの谷間だったのでFixはおろか3Dも怪しかった場所でしたが、さすがに3面開けていてDPOPも1.6なら測位が高速です。
CLAS側は、ず~っと3Dのまま。高精度な測位になりません。CLASでは衛星の配置具合によっては、測位までに時間が掛かるので、1~2時間放置しておきましたが、それでも全然ダメ。
ちょっとおかしいので原因を探ってみます。
D9CのCLAS受信状況を確認する
u-centerでD9Cの受信状況を確認することが出来るのですが、方法を忘れてしまいました。代わりにNMEA Monitor等のGPS便利ツールを開発している 4riverさんのQZSSL6 Monitorを使います。
NEO-D9Cの出力する受信情報の概要を表示しCSVファイルに記録できるという強い味方です。
以前もNMEA to KMZ file converter やNMEA Statistics Utilityなどでお世話になっていますm(_ _)m
http://4river.a.la9.jp/gps/indexj.htm
まずu-centerがD9Cを開いているので、閉じます。
u-center→Receiver→Differencial GNSS Interfaceのチェックをオフにします。
次にQZSSL6 Monitorをダウンロードしたら、ウィンドウ下側の"Serial Input : NEO-D9C"でポートを選択しOpenボタンを押します。
しばらくするとステータスが表示されますが、なんとエラー。
QZSSL6 MonitorのReadmeを読んでみると、C/Noが悪いようです。
C/Noの数値と受信状況の目安
- 38.0 dBHz以上 : 正常受信
- 35.1~37.9 dBHz : エラー訂正して受信
- 35.0 dBHz以下 : 受信不可
というわけで、配線の見直しやアンプを入れるなど対策をしたところ、35dBHz以上になりました。
D9Cをu-centerに接続し直したところ、無事FLOAT解(Fixよりも悪い高精度測位)になりました。
受信レベルが確保できれば後は衛星の配置状況が良くなればFixするはずです。
まとめ
長くなりましたので、今回はここまでとします。
- RTK方式の高精度な測位はネットワーク接続が必要(もしくは基準局を立てる)
- CLAS方式であればみちびきの補強データを使用することで単独高精度測位が可能
- 6万円程でCLASに必要な部材が揃う
- D9Cのみちびき補強データの受信状況はQZSSL6 Monitorがとても使える
次回は取得したログをもとにRTKとCLAS方式の違いを見てみます。
以上、ドルフィンシステム福島でした。
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