みちびきのL6を受信し高精度な測位(CLAS)を行う(2回目)

こんにちはドルフィンシステム福島です。

前回「みちびきのL6を受信し高精度な測位(CLAS)を行う(1回目)」で測位したRTKとCLAS方式のログが取得できたので、取得したデータを分析してみます。

ログ取得期間は以下の通りです。

  • 取得開始 : 2022-10-02 04:06:30
  • 取得終了 : 2022-10-03 06:59:00
  • 約27時間

衛星測位の精度比較は2DRMSで行いました。2DRMSは取得したNMEAをNMEA Statisticsで行いました。簡単にNMEA解析が出来る素晴らしいソフトウェアです。

測位位置は、ビルの谷間と言うほどではありませんが、周囲は同じような高さの建物がある環境です。


一番空が見えるベランダの角にアンテナを建てたので、90度は自分の建物が邪魔ですが270度くらいは開けて衛星が見えそうです。


まずこちらがRTK。
水平位置はほとんどの測位点が10cm以内に収まっています。オープンスカイではない環境では善戦しているのではないでしょうか。


次にCLASです。
48cmと本来の測位誤差 3.47cm に比べて相当劣っています。


まとめはこちらです。良好な環境とは精度が一桁悪いですね。

水平(2DRMS)垂直(2DRMS)Fix率Float率
RTK10cm29cm99.73%0.02%
CLAS48cm108cm76.14%23.47%

測位モードの変化(CLAS)

RTKは、測位開始後1:30秒ほどでFixし、その後Fixしたままでした。CLAS(下図)は、開始→Float 1分、Float→Fix 48分とFixするまで随分時間が掛かりました。その後もDGNSSやFloatにも遷移しており不安定さが垣間見る事が出来ます。

  • 4:06:30 開始
  • 4:07:33 Float
  • 4:56:02 Fix

以下にRTKとCLASを比較した座標と高さ、誤差、2DRMS等のグラフを出しておきます。

RTKはFixした後はほとんど変化がありませんが、CLASはちょくちょく変化があります。


座標と高さ

RTK


CLAS


Height Err, Hor. Err

RTK


CLAS


2DRMS


まとめ

  • RTKの測位誤差は、10cm(2DRMS)だった。
  • CLASの測位誤差は、48cm(2DRMS)だった。
  • RTKのFix時間は、1:30だった。
  • CLASのFix時間は、48分だった。


町中での静止環境でこの精度になりました。
測量には使えないと思いますが、位置を得るだけなら十分そうです。

次は町中を移動しながら測位してみます。

以上、ドルフィンシステム福島でした。


コメント