みちびきのL6を受信し高精度な測位(CLAS)を行う(3回目)

こんにちはドルフィンシステム福島です。

前回「みちびきのL6を受信し高精度な測位(CLAS)を行う(2回目)」で静止状態でのRTKとCLASの測位精度を比較しました。

測位点の電波状況が悪いのか、RTKでも2DRMSの水平 10cm、垂直 29cm、CLASで水平48cm、垂直108cmと振るいませんでした。

さて今回は、RTKとCLASのログを取得しながら池袋の町中を歩いて見たいと思います。


使用機材と移動方法

PCLenovo YogaBook C930
RTKZED-F9P
基準局 CQ出版
CLASZED-F9P
NEO-D9C
アンテナBT-345AJ


ノートPCにGPSを接続してNMEAログを取得します。
使用するPCは、液晶と電子ペーパーの2画面表示が出来るLenovo YogaBook C930。
天気の良い屋外では液晶が全然見えませんが電子ペーパーならくっきり見えますので、屋外作業にはこのPCが便利です。


下図のように電子ペーパーに画面を表示し、液晶画面を消してアンテナを乗せて歩きます。GPS等はリュックに入れました。


最初は徒歩だったのですが、途中で電動キックボードのポートが目の前にあったので行程の80%程は電動キックボードで移動しました。

ノートPCなどすべてをリュックに入れGPSアンテナだけを電動キックボードのスマホホルダーに乗せて移動しました。



Fix率

まずFix率です。

RTKは行程の50%でFixしていましたが、CLASは約14%。

RTKではビルの谷間に入らない限りFixしていましたが、CLASは池袋の数少ないオープンスカイな環境だけでFixしていました。ビル陰に入ってもオープンスカイに戻れば30秒程度でFixします。

Floatが38%ありましたのでcm級の高精度な測位をしなければ十分な精度と思います。

GPGGA
GPS Quality
CLASRTK
1標準測位2.69%0.00%
23D/DGPS45.12%14.50%
4Fix13.85%52.79%
5Float38.30%32.67%

Fix率算出方法 : NMEAのGxGGAのQualityを数え上げる自作Pythonスクリプトで算出。


移動経路と差異

開始 : 2022/10/31 14:26:00
終了 : 2022/10/31 15:06:20

NMEAからGoogle Mapにインポートした地図はこちらです。RTKとCLASの測位比較が出来ます。

https://www.google.com/maps/d/u/0/edit?mid=1ml3vKhJY3TnD01-O7Jlxx8eCvj2g0Nk&usp=sharing


下図、左上からスタートし、右下に向かいつつぐるっと時計回りで移動しました。

下図の、赤い線がRTK、黒い線がCLASでの測位です。

ぱっと見はどちらも同じに見えます。

作図手順 : NMEA2KMZ→NMEAからKMZを生成→Google map→マイマップ→KMZをインポート

JR線と東武線を跨がる陸橋がオープンスカイなので、陸橋に差し掛かったところでCLASがFixし、測位がぴったりと合います。


陸橋に上で左右斜めに歩いて見たところ、ちゃんとログに残っています。

ただ下図のようにRTKとCLASでは若干のズレがあって、測位点がズレていると言うよりもCLASの方が反応が遅いように見えます。


赤いRTKの線を見ると電動キックボードが車道を走っていますが、黒のCLASは歩道を走っているように見えます。

もし交通事故などで裁判になったとき、証拠がRTKなら無罪でCLASなら有罪になりそうです(笑)


ガードをくぐるとCLASは大きくズレますが、直ぐに元に戻っていることが分かります。


詳しくは上のGoogle Mapからご覧下さい。

RTKとCLASのズレは概ね1m程度では無いでしょうか。町中で測量でもしなければ十分使い物になります。


高度の比較

両者とも傾向は良く似ていますが、RTKは変動が少ないのに対しCLASは変動が大きくCLASは高度がマイナスの箇所もありますね。


RTK



CLAS

作図方法 : Wadachi→NMEA拡張子logに変更してD&D→トラック→ノイズフィルタ→時速60km/h以上を除去したものです。


まとめ

  • 池袋の町中でRTKはFix率50%。CLASは、14%。
  • CLASでは、Fix, Float合わせて50%にはなっているのでcm級の精度が不要であれば十分と思われる。
  • RTKは裁判の証拠には使えそうだが、CLASは不利になる場合もありそうだ。

以上、ドルフィンシステム福島でした。


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