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SDR技術で使われるハードウェア「ソフトウェア無線機」の概要

前回に引き続きNI Days 2018の技術セッションで講演した内容を、お送りします。

前回は「SDRの定義と原理」についてご紹介しました。

今回はSDR技術で使われるハードウェア「ソフトウェア無線機」の概要についてご紹介します。

ソフトウェア無線機の比較

ソフトウェア無線機と通常の無線機は何が違うのか?簡単に比較してみます。

以下の表に、通常の無線機とソフトウェア無線機の各項目を並べました。

通常の無線機は、特定の用途向けに作られているので特定のことしか出来ません。

ですがソフトウェア無線機は、様々ことに利用されることが前提なので利用周波数帯も帯域幅も出来るだけ広いものが用意されています。また信号処理部はプログラミングするわけですからPCから装置自体を制御・プログラミングできるようになっております。


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SDRの事例

ではどのようなところでSDRが活躍しているのか、それを簡単にご説明します。

以下の図は、NEC様が2013年リリースした鉄道無線用にソフトウェア無線機です。

首都圏では、色々な会社の鉄道が相互に乗り入れしています。一つの電車がいくつもの会社の路線を走る、ということは各社の通信方式に対応する必要があります。

「1台のソフトウェア無線機で、通信方式を切り替えながら走行する」という機能を満たした無線機が、NEC様がリリースしたソフトウェア無線機のシステムです。

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ではソフトウェア無線機の構成はどのようなものでしょうか?


ソフトウェア無線機の構成

ソフトウェア無線機の構成自体は普通無線機と余り変わりはありません。電波を送受信するRF部、データをアナログ・デジタル変換するサンプリング部、信号とデータを変復調する信号処理部で構成されています。

ただ、この信号処理部がプログラマブルになっているのがソフトウェア無線機です。


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ソフトウェア無線機の実例(1)

ソフトウェア無線機の構成を、具体的なブロック図で見てみます。

以下のブロック図は、ナショナルインスツルメンツ製USRPというソフトウェア無線機のブロック図です。

左端のRX1 or RX2コネクタから入ってきた電波が、アンプやミキサを経由してIQ分離が行われADコンバータでデジタル信号になり、イーサネット経由でPCに転送されます。

逆にPCで作成されたIQデータがイーサネットを通って、受信側とは逆にDAコンバータやアンプを経由して、RF信号となって出力されます。

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ソフトウェア無線機の実例(2)

以下の図は、NIの製品でUSRP RIOと呼ばれるシリーズで、基本的な構成は先のUSRPと同じですが、サンプリング部とPCとの間にFPGAが搭載されています。

送受信する信号をリアルタイムに処理したい場合やソフトウェアで処理が間に合わない場合など、信号処理に時間確定性が必要な場合に、FPGAで高速に信号処理をさせる事を行います。

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その他のソフトウェア無線機の例

以上までで紹介した以外にも市販されているソフトウェア無線機はあります。

1000円程度から数万円程度で購入できます。

RTLSDRは、デジタルテレビのチューナーですが細工をすると受信したIQデータが出てくるので、1000円程度で買えるSDR受信機として人気です。

また最近ではアナログデバイセズがSDR教育用として販売しているADALM-PLUTOも$99~$144で安価に購入できるので人気が高まっています。

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まとめ

  • 通常の無線機は、特定の用途向けに作られているので特定のことしか出来ません。
  • ソフトウェア無線機は、様々ことに利用されることが前提なので利用周波数帯も帯域幅も出来るだけ広いものが用意されています。
  • ソフトウェア無線機は、プログラミングして利用するわけですからPCと接続して制御・プログラミングできるようになっています。
  • 身近なところでは、ソフトウェア無線機は相互乗り入れに対応した鉄道無線用に実用化されています。
  • ソフトウェア無線機の構成は、通常の無線機とあまり変わりはありませんが、信号処理部がプログラマブルです。
  • ソフトウェア無線機の信号処理は、PCで行ったり、ソフトウェア無線機自信に搭載されているFPGAなどで行うことが出来ます。
  • ソフトウェア無線機は、1000円~数万円で購入できます。


次回は、ソフトウェア無線機はどのようなソフトウェア環境で使われるのかご紹介します。

もしご意見・ご感想・ご質問がありましたら、是非こちらからお寄せ頂ければ幸いです。

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