SDR/USRPに適したPCの選択方法

NI P2Pが使えるマザーボードを選定する

こんにちはドルフィンシステム福島です。

前回の「仮想通貨マイニング用ライザーカードでNI P2Pは使えるのか?」では、

PXIシャーシではない普通のPCでも、

PCI Expressスイッチ配下にUSRP-RIOを接続すれば、

P2P転送が使える、

ことが分かりました。

今回は、PCI Expressスイッチが搭載されているPC(マザーボード)の見つけ方、見分け方をご紹介します。


検索する

まずは検索です。

PCI Expressスイッチは、PLXという会社の製品が多くのマザーボードで採用されています。
なので、「マザーボード PLX」(検索期間 : 1年以内)として検索します。

すると下図のように「X299」や「Z390」というチップセットが搭載されたマザーボードに搭載されていることが分かります。

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PCI Expressの帯域幅を確認する

目当てのマザーボードが見つかったら、必要なPCI Expressスロット数と帯域幅を確認します。

マザーボードのスペックシートを見ると、以下のように使える拡張スロットの幅が列挙されています。

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ぱっと見では、

7 x PCIe 3.0/2.0 x16

だけに目が行って「PCI Express x16が7本使える」と思いがちです。

写真を見てもスロットがたくさんありますし。

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だがちょっと待って欲しい。

実際に重要なのは、括弧の中身。

この括弧には「使えるPCI Express帯域幅の組み合わせ」が書かれています。

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ここには7本のx16が使えるのではなく、

  • 1本(single)→x16
  • 2本(dual)→x16/x16
  • 3本(triple)→x16/x16/x16
  • 4本(quad)→ x16/x16/x16/x16
  • 7本(seven)→x16/x8/x8/x8/x8/x8/x8/x8

という組み合わせで使えます、という事が書かれています。

「7 x PCIe 3.0/2.0 x16だからx16のボードを7枚は使える♪」

と早合点すると痛い目に遭います。


まあ。USRP-RIOは、x4なので7枚使えますが・・・(x8のスロットに、x4やx1を挿入して使用可能)


マザーボードのブロック図で確認する

では次の確認ポイント。

PCI Express帯域幅の確認が出来たら、それで満足するのではなく必ずブロック図で確認します。

以下は、ASUS WS X299 SAGEというマザーボードのマニュアルから引用したもので、ブロック図は大抵マニュアルの最後の方に記載されているので、探してみて下さい。
(ブロック図が記載されていないマザーボードもありますが、これらは素人向けの安物なので検討対象外にします)

ブロック図を見ると、CPU(以下では、Intel Skylake-X)とPLX8747(PCI Expressスイッチ)がPCIE 16Xで接続され、その配下にPCI Expressスロットが接続されています。

これこそNI P2Pが使えるスロットです。

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このブロック図に書かれているスロットに注目。

ここにx8 or x16どちらの帯域幅で使えるスロットかどうか書かれています。


x16で接続されているスロット
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x8もしくはx16で接続されるスロット
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x8だけで接続されているスロット
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ちなみに、ここにM2 PCI Express変換ボードを挿入すると、USRP-RIOを接続可能ですね。
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使用できる帯域幅と組み合わせは、マザーボードの設計により異なるので各社各製品によって違います。

組み合わせは、ユーザが自分で設定できるのではなく設計段階で決められています。(UEFIで設定できるものもの有り)


さらにブロック図を確認する

PCI Express帯域幅とスロットもスペックシートとブロック図で確認した。

これでOK!





・・・・ではない。

もう少し、念には念を入れて、マニュアルをあと1ページめくって欲しい。


あと1ページめくると、そこには何があるのか?




この続きは来週。


まとめ

  • PCI ExpressスイッチはPLX製が多い。
  • 「マザーボード PLX」と検索するとPCI Expressスイッチ搭載マザーボードが見つかる
  • スペックに書かれている「7 x PCIe 3.0/2.0 x16」という記述は、PCI Express x16が7スロットあるわけではない
  • 使用するPCI Expressの帯域幅には組み合わせがある
  • PCI Expressスイッチは必ずブロック図で確認する


初めは2回程度で終わるかと思っていたこのシリーズですが、さらに1回つづきます。

次回は、ブロック図の確認の続きからです。

私たちドルフィンシステムは、ドキュメントに書かれている情報でも鵜呑みにせず回り道と思われるような確認もしています。しかしこのような活動をベースにお客様の様々な要望に答えられるような知見の蓄積・環境の構築を行い、最適な無線システムを提案していけるよう努力しております。

SDRを用いた無線システムのご要望はドルフィンシステムへ。

以上、ドルフィンシステム福島でした。

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