NI P2Pが使えるマザーボードを選択する際に間違いやすい点

こんにちは。ドルフィンシステム福島です。
前回の「NI P2Pで使うCPUを選定する」では、
  • CPUによって使用できるPCI Expressのレーン数が違う
  • CPUが使えるPCI Expressのレーン数の調べ方
をご紹介しました。
今回はマザーボード選択時に間違いやすい点をご紹介します。

ブロック図に書かれたPCI Expressスイッチ?

NI P2Pを使用するためには、マザーボードにPCI Expressスイッチが搭載されていて、USRP-RIOがPCI Expressスイッチ配下に接続されている必要があります。
以下は、SuperMicroの"C7Z370-CG-L" 第7世代Intel CPUに対応したマザーボードのブロック図です。
このブロック図を確認すると、PCI Expressスイッチらしきものが記載されています。



拡大した画像がこちら。


確かに "Switch"と書かれています。
「よし、これでPCI Expressスイッチが搭載されている。これでいこう」と早合点してはいけません
まず型番の "ASMedia Switch ASM1480"で検索して確認してみます。


この説明は分かりづらいかもしれませんが、マルチプレクサ/デマルチプレクサと書かれています。
つまりPCI Expressスイッチではなく、PCI Express x8をx4 2本に分割したり、x8 2本を x16 1本に束ねたりするICです。
で、本来のPCI Expressスイッチはこちら。
はい。ちゃんと "supporteing peer-to-peer traffic"と書かれています。


PCI Expressマルチプレクサ/デマルチプレクサの使われ方

前々回の「NI P2Pが使えるマザーボードを選定する」で、PCI Expressスロットの組み合わせについてご紹介しました。
引用すると、
ここには7本のx16が使えるのではなく、
  • 1本(single)→x16
  • 2本(dual)→x16/x16
  • 3本(triple)→x16/x16/x16
  • 4本(quad)→ x16/x16/x16/x16
  • 7本(seven)→x16/x8/x8/x8/x8/x8/x8/x8
という組み合わせで使えます、という事が書かれています。
です。で、この組み合わせを実現しているのが、マルチプレクサ/デマルチプレクサの役割です。



この "QSW 1480"が、x16を2本の x8 で使ったり、x16のまま使ったり設定に応じてレーンを multiplex / demultiplexしているのです。

まとめ

ではまとめです。
  • "ASM1480 Switch"と書かれいているものはPCI Expressスイッチではない
  • "ASM1480"は、PCI Expressマルチプレクサ/デマルチプレクサである
  • マルチプレクサ/デマルチプレクサは、PCI Expressレーンを分割したり束ねたりしている
  • PCI Expressのレーンの組み合わせは、マルチプレクサ/デマルチプレクサで実現している
  • 不明点は必ずホームページやブロック図で確認すること
以上です。

2月上旬から7回にわたり、NI P2Pを普通のPCで使う場合のポイントをPCI Expressを中心にご紹介してきました。

NI製品はラインナップも広く充実しておりとても使いやすいのですが、NI製品群から少しでも外れる使い方を模索すると、自ら情報を集め・理解し・試行錯誤しなくてはなりません。時間もお金も、周囲の理解も必要とする地道で精神的にもつらい作業です。

今回シリーズは、ある案件で調査したメモを元に再構成しご紹介してきました。
NI P2PをNI製品ではない普通のPCで使う場合、
PCI Expressスイッチが搭載されているマザーボードを使えばOK!
言葉で言えば一言で終わってしまうのですが、実際に開発作業で使う場合は、一つ一つ現場現物で裏を取って確認作業を進めています。

製造メーカ(ナショナルインスツルメンツ等)とお客様にある情報のギャップ、要求のギャップ、それを埋めるのがインテグレーターとしてのドルフィンシステムの役割であると再認識した今回の連載でした。

2019年初頭から私福島がメールニュースを書いてきましたが、来週から笹生が復活する予定です。

今後ともよろしくお願いします。

SDRを用いた無線システムのご要望はドルフィンシステムへ。

以上、ドルフィンシステム福島でした。

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